True Love
…と、突然扉が開く音がした。


瞬間的に視線を向けると、

「佐野、くん…」

そこには佐野くんがいた。


なんで…?なんで今日も来たの?

予想外の出来事に、驚き戸惑ってしまう。


「やっぱり、高野さんは真面目」

そう言って笑うと、佐野くんは箒を手に取り、床を掃き始めた。

ドキドキと、緩やかに心音が高まっていく。

佐野くんが、来てくれた。

昨日と同じく、暇だから来たのだろうか?


ほんの少しの時間だけど、二人だけの時間。

また、二人きりの空間だ。


嬉しい…。
とにかく嬉しくて、心がぱあっと明るくなった。

ずっとこの時間が続いてほしくて、自然と床を掃く手が遅くなってしまう。

何を話すわけでもなく、ただ二人で掃除をしているだけだけど、特別で凄く幸せな時間。
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