True Love
「照れてる?」

わかってるくせに、佐野くんはわざと聞いてくる。

黙っていると、佐野くんの手が私の髪を優しく梳いた。

思わず佐野くんを見る。


「…髪、サラサラだね」

佐野くんの落ち着いた声が、胸に響いた。

髪を梳く優しい手付きに、身動き一つとれない。

佐野くんの優しい眼差し…。

愛されてると、錯覚しそうになる。

それが怖くて、私は佐野くんの手から逃れようと、一歩後ろへ下がった。


「なんで逃げるの?」

どんどん顔が熱くなる。


「嫌?」

フラフラして、今にも倒れてしまいそう。


「ちゃんと言って」

佐野くんの甘い囁きに、胸が震えた。


「…っ、嫌じゃないよ…」

……私の本音だった。

言葉にしたとたん、想いが溢れ出す。

錯覚だっていい。

例え今だけでも、佐野くんを感じていたい。

遊びでもなんでもいいから…佐野くんに触れられたい。



この考えは、間違ってるだろうか…?





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