True Love
目の前まで来ると、佐野くんは私の頭を優しくポンポンした。

見上げると、優しい笑みを浮かべる佐野くんと目が合った。


…ドキドキし過ぎて、なんの言葉も出ない。

佐野くんの優しい手の温もりに、酔いしれる。


「高野さんってほんと、なんていうか…ほっとけないよね」

そんなことを言われたら、また期待してしまう。勘違いしてしまう。

傷付くのが、怖い。
だけど…何度傷付いたって私は、佐野くんを好きでいるだろう。

もうきっと…どうしようもないくらい、佐野くんのことを好きになってしまっているから。


それから私と佐野くんは掃除を始めた。

特に何を話すわけでもないけど、昨日とは空気が全然違くて、とても温かい。

嬉しくて、自然と笑顔になる。


「今日はずっとニコニコしてるね」

笑顔で佐野くんに言われ、頬がぽっと熱くなる。

そんなにニコニコしてたかな?
ちょっと恥ずかしいかも…。
でもそれは…佐野くんと一緒だから。佐野くんのせいだよ。
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