True Love
それからあっという間に掃除は終わってしまった。


佐野くんが帰る準備を始める。

短すぎる、二人の時間。


「じゃあお疲れ様」

そう言うと、佐野くんは図書室を出ようと歩き出した。


どんどん距離が遠くなる。


待って…。
行かないで…!


「佐野くんっ…」

気付いたら私は佐野くんの名前を呼んでいた。


「何?」

立ち止まり、こちらに向き直る佐野くん。


…っ。

私、何してるの…?
佐野くんの視線に、心拍数が上がる。


「あの…その」

咄嗟に呼び止めてしまったけど…その後の言葉が続かない。


「…どうしたの?」

不思議そうな顔で、私を見る佐野くん。


「っ……よかったら」

ダメだ、声が震える…。


「…一緒に帰れないかな?」

絞り出すように、やっとの思いで発した言葉。

自分の口から出た言葉に、自分でも驚いた。

…こんな積極的な自分がいるなんて、思いもしなかった。

佐野くんと、まだ一緒にいたいから。今よりもっと、仲良くなりたいから…。

精一杯の、勇気を出した。


ドキドキしながら、佐野くんの返事を待つ。
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