True Love
二人きりだった図書室、いきなり三人になって…あっという間に一人になった。

佐野くんと女の子の笑い声が、どんどん遠くなる。

そして、聞こえなくなった。


しんとした静けさ。
私はただ一人、取り残されていた。


何ぼんやりしてるんだろ…。
早く帰らなきゃ…。

だけどなぜか、足が動かない。

そのかわり、涙が一粒零れた。


嘘っ…なんで?
なんで涙なんか…。

一粒零れたのをきっかけに、次々と涙が溢れ出す。

ヤダ…。
どうしてこんな…。


自分でもなぜだかわからなかった。
ううん…ほんとはわかってる。
だけど…わかりたくなかった。


やっぱり…私みたいな子は、佐野くんには似合わない。

さっきの女の子の目が、そう言っているような気がした。

私は佐野くんに、相応しくない。

そんなの最初からわかってたけど…この数日間、嬉しくて、楽しくて、どんどん佐野くんを好きになって…。



さっきまでオレンジ色だった図書室。いつの間にか窓の外は紫へと変わり始めていた。

私は鞄を手に持つと、足早に図書室を後にした。
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