True Love
「いない!嘘…見失っちゃった!?」

「…そう、みたいだね」

「えー、どこ行ったんだろ?」


ほんとにどこ行っちゃったんだろう…?
こんな一瞬で見失うものかな?

だけど…少しほっとしてる。
ずっと見てるのは、やっぱり辛い…。


「あーぁ、残念。これからどこ行くのか探ろうと思ったのにー」

確かに、それは私も気になるけど。


しばらく辺りを見回してみるも、やっぱり二人の姿はない。

「…しゃーない。帰るか」

「うん」

諦めて帰ろうとしたその時だった。

男子トイレと女子トイレから、ほぼ同時に私服姿の佐野くんと女の子が出てくる姿が目に入った。


千晶ちゃんは一瞬叫びそうになるも、慌てて自分で自分の口を塞いだ。

笑顔で手を繋ぎ歩き出す二人を、私はただただ呆然と見つめる。

二人はそのまま駅の出口方面へと歩いて行ってしまった。
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