【完】うしろの席のオオカミさん
机の下を見てみるとちょうどシャーペンは大上くんの上履きの下にあった。
完璧踏んでるし。
「日向子チャンってさ俺のこと嫌い?」
そんな質問してないで早くシャーペンを取ってほしいんですが。
男子に下の名前であまり呼ばれたことがないからすごく違和感がある。
大上くんはほとんどの女の子を下の名前で呼んでいる。
時々名前を間違えては女子たちに怒られていたりする。
席が近いと聞きたくなくても耳に入ってきちゃうから嫌だ。
毎休み時間聞こえてくる楽しそうな笑い声。
大上くんのまわりにはいつも人がたくさん集まってくる。
だからわたしは授業が終わったら逃げるように席を離れ友達のところに避難をするのだ。