【完】うしろの席のオオカミさん
「俺すげー嫌われてんなぁ」
乾いた笑い声が教室に響く。
わたしは真顔で帰りの支度をする。
早くこの人から離れたい。
「じゃあ、わたし帰るね」
「待ってよ。勉強してこーぜ?」
……………。
勉強という単語がこの男の口から出てくるなんて。
びっくりびっくり。
「えっと……わたし用事あるから急いで帰らなきゃなんだ」
まっすぐと見つめられるとそらしたくなる。
吸い込まれちゃいそうな色素の薄い瞳。
まばたき一つしない。
「俺さぁ……志望校、君と同じなんだよね」
「へっ!?」
日誌を落としそうになった。