【完】うしろの席のオオカミさん
「郁磨は誰にも本気にならないよ。ふふっ、そんな泣きそうな顔で睨まないでよー」
「さっさと郁磨のこと返して」
二人がこちらに距離を縮めてくる。
返して、とか初めから大上くんはわたしのモノじゃないし。
なんの関係もないもん。
「大上くんは誰のモノでもないんでしょ?なんでそんな自分たちのモノみたいな言い方してるの?」
そう言うと二人の顔から笑顔が消え、目をつり上げてわたしのスカーフを引っ張り始めた。
もう一人は髪の毛。
いった……!抜けるからやめてよーっ!