【完】うしろの席のオオカミさん
「ダンボールが足りないよ~!」
「実行委員どこぉー!?聞きたいことあるんだけど!」
「看板どーすんのー?」
忙しく動き回る人、教室の隅で本を読んでる人、廊下で友達と戯れてる人……
いろんな人がいます。
わたしはちゃんと働いてます。
「ねえ、郁磨見なかった?」
頭上から降ってきたその声に手を止めて顔を上げる。
文化祭実行委員の女の子だった。
頬に緑の絵の具なんてつけちゃって…可愛い。
郁磨って……大上くんだよね?
「んー、見てないよ?」
「まじかぁ。あいつサボリかなー」
そんなことを呟きながら教室を出ていくその子の背中を見送ってわたしはまた手を動かす。