【完】うしろの席のオオカミさん
わたしがそうぽつりと呟いたのと同時に、カタッという軽い小さな音が頭上からした。
不思議に思って顔を上げてみると……
「っ……!」
グラグラと揺れているバケツが何個か掃除用具入れの上にあったのだ。
なんであんな不安定な場所に置かれてるんだ……!
反射神経が良ければ横にずれることはできたんだろうけど。
わたしは咄嗟に目を瞑って、その場にしゃがみこんだ。
「大丈夫!?」
頭にではなく背中に落ちてきたバケツたち。
けっこうな高さから落ちてきたから予想してたより痛い。
うぅ……なんでバケツが落ちてくんのさー…
「だ、だいじょぶだよー」
力なく笑って横に顔を向けると水瀬くんはわたしの背後にまわりこんだ。