【完】うしろの席のオオカミさん
離れていく背中に一瞬だけ目をやってすぐに視線を外した。
あんな人、本気で好きになったって振り向いてもらえるわけがない。
傷つくと分かってるのになんでだろう。
大上くんを前にするとどうしても揺らいでしまう。
気持ちに気づかないフリをしようとはしてるのに。
他の子なんて見ないで。
本物の『好き』という言葉がほしい。
気づいてしまったこの気持ち。
止められないこの気持ち。
もう、どうすればいいの?
卒業式まであともう少し。
高校生活残りわずか───……もう、時間がないよ。