【完】うしろの席のオオカミさん
「まだ教室にいたの?行動おっせぇーな、おまえ」
教室の前方のドアから聞こえてきたその声にビクッと肩があがる。
どうしよう。あの男だ。
振り向きたくないーっ!
「あーもういいや。図書室じゃなくて教室でやろうぜ」
校庭から聞こえてくる部活動に励む生徒たちの声。
近づいてくる足音。
ごちゃごちゃな私の頭の中。
今すぐ逃げ出したい。
「さて、と。勉強教えてくれよ日向子先生」
自分の席ではなく隣の席に腰をおろした大上くん。