【完】うしろの席のオオカミさん
「先生に教わった方が早いんじゃないの?」
わたしなんかに聞くより先生やもっと頭のいい人に聞いた方がいいって。
なんとか適当な理由を付けてわたしは帰ろうと考えた。
「日向子チャンってさ……水瀬のことが好きなんだ?」
「…………」
なんで水瀬くんがここで出てくるのよ?
てか、なんでわたしが水瀬くんのこと好きだって知ってるの?
まさか盗み聞き……!
莉乃ちゃんの声はよく通る声で普通に話してても少し大きい。
「ふーん。水瀬ねぇ……」
独り言のようにつぶやく大上くん。
一番前の席……水瀬くんの席に一瞬視線を動かして再びわたしを見た。