【完】うしろの席のオオカミさん


むっとした顔を声の主に向ける。

けっこう痛かったんだけど。
もうちょっと軽くぶつかってよね。



「さっき何話してたんだよ」


「あ、仲居さんと話してるところ見てたの?」




自然と声がうわずって、さっきのドキドキが戻ってくる。



「あのね、お幸せにね!って言われちゃった。めちゃくちゃ美人さんだったぁ」



口元が緩み自然と笑顔がこぼれる。


落ちていたバッグを拾い上げ抱えようとしたらそのバッグを目の前にいる人に奪われてしまった。



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