【完】うしろの席のオオカミさん


かかとを浮かしてぴょんっとジャンプした。


早く携帯を返して!
わたしはもう家に帰りたいの!




「ぎゃっ……!」




着地地点が少しずれて大上くんの上履きを踏んでしまい、よろけた。


咄嗟に手がシャツを掴んでしまった。


ハッと顔を上げると至近距離にある整いすぎているその顔に胸が変な音を立てる。



ドキッ



漫画に出てくるようなあんな甘い感じじゃなくて……なんというか。


背筋がぞわっとして

なんだか寒気がするんだ。




「ご、ごめんなさいっ」




慌てて手を離すと大上くんは携帯を持っていない手でわたしの手首を掴んだ。


両手首掴まれてしまったわたし。



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