【完】うしろの席のオオカミさん


「こ、この際だからはっきり言うけどねぇ……っ!」



バッグを胸の前できつく抱きしめる。


わたし今、すっごい怖い顔してると思う。
女子じゃないだろ……ってレベル。


一呼吸おいて、眉間にしわを寄せて目の前にいる人を見上げた。


言うんだ。
よし、行け!及川日向子!



「大上くんのこと苦手なの。嫌いなの。だからもう話しかけないで。関わりたくないの!」



こんぐらい言われたら傷つくよね。さすがに。


でも大上くんにはこのぐらい言わないと……



「……へえ。日向子ってちゃんと自分の思ってること言えるんだ」



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