【完】うしろの席のオオカミさん
全体的に短く切られた黒髪。
頭だけ見れば少しは真面目な感じは滲み出ている。
「……うん」
「いや、『うん』じゃわかんねーし」
じゃあなんて言えばいいんですか。
似合ってるよって?
かっこいいよって?
絶対言いたくないね。
「及川さんと大上くん。先生の話聞いてたかしらー?」
先生に名指しされて慌てて前を向く。
先生に注意されるなんてわたしにとっては珍しいこと。
大上くんはいっつも何かと注意されてるけどね。
心の中でため息をついて先生の話に耳を傾ける。