神様が泣いたあと


安心した矢先に、哲が激しく咳込みだした。

「ゲホッ、ゲホッ」

「哲?!大丈夫か?!今、先生呼んでくるから!」

走りだそうとした俺の手を哲が力強く掴んだ。

「いい!呼びにいかなくていいから…!」

苦しげな声が俺を引き留める。
額から頬へと汗流れている。すごい熱があるのかもしれない。

俺は今すぐにでも先生を呼びに生きたかったけれど、哲の強い眼差しに足が動かなかった。

「……翼も、もう教室戻れ。授業始まってるぞ」

ダルそうに腕を眼にあてて、荒い息をしながら哲は呟いた。

「……いい。ここにいる…」

< 156 / 315 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop