神様が泣いたあと


俺の腕を強く掴んだ哲の手がゆっくりと放れていく。

なのに、石化したみたいに俺の足は重く動かなかった。

哲は眼に腕を乗せているから、どんな顔をしているのかわからない。



だけど、放されたその腕に『早く行け』と言われている気がした。


此処にいたいのに、此処にはいられなくて


振り切るように走り出した。


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