神様が泣いたあと
昼休みのチャイムが鳴り終わっても、翼は帰ってこなかった。

そして───葵も。




「おい。榎本翼はまたサボりか。しょうがないな、アイツは」

数学担当の山下は大げさに溜息をもらし肩をすくめる。

生徒たちは、なんてコトない雰囲気で教科書を開く。

「原田葵はどうした?珍しいな。保健室でもいってるのか。はいじゃあ授業始めるぞー」


翼が授業をサボるのはよくあることだ。

だけど今日は違う。


葵までいない。
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