神様が泣いたあと
6時間目始まりのチャイムが鳴り響いた。
「うーわ、次、生物かよー…」
翼のあからまさに嫌な顔。
「翼、さっきサボったんだから単位やばくなる前にちゃんと出席しろよ?」
「ンー…」
俺が咎めると翼は浮かない顔で承諾をした。
そんなやりとりをしていると、葵は軽く会釈をして自分の席にさっさと戻っていった。
その後ろ姿が、あの頃の小さな背中を思い起こさせる。
「はい、お前ら席につけよー」
生物の先生の野太い声で生徒たちはまばらに自分の席に戻っていく。
翼も肩をすくめながら自分の席についた。
葵は静かに教科書とノートをとりだしている。
カーテンからもれる午後の陽の光が彼女に、彼女だけに降り注いで目が離せなかった。