わたしだけのバンドマン
「遊馬君、本当に凛乃、石像動かしたの?」
「おう、マジだぜ。ゴリラって言うのも無理ないだろ?」
「無理無くない!!!!!」
私の悲痛な声が響く。
「確かに信じらんないけどゴリラは酷いわよ・・・」
「えっ!加奈子信じられないとか言っちゃうわけ!?
っていうかスルーしてたけどさっき
『遊馬君の気持ちもわからないでもない』とか言ってたよね!?」
「草間はお前と違ってか弱いからな。当たり前だろ?」
「うっさい!この失礼男!」
「なんだよ、ホントの事だろうが!」
そうやってギャーギャー言い合っていると
「おーい玲央、移動教室先行ってるぞー」と遊馬の友達が言いに来た。
「おう、ちょい待ち!!お前と遊んでる場合じゃなかった!じゃあなゴリラ女!!」
と言って私たちの教室から出て行った。
「ゴリラじゃないって言ってんだろ!!殴られたいか!!!」
という私の声にもヒラヒラと手を振るだけだった。