ジャスミン【短編・完】
ことの家は、コンビニから20分ほど歩いたところ。
遠くはないけどこの道は暗くて危ないと思う。
もっと明るいとこに住めばいいのに。
「高校生を家にあげるのってやっぱりなんか罪悪感…」
「俺は嬉しいけど?」
「でも犯罪じゃないかな?あたし年だし…」
「ことは若いよ。クラスの女子より可愛いし。」
「はいはい、ありがとね。」
「…ホントなのに。」
ひらひらと手を降って、洗面所に入って行く。
ことは俺のことなんかなんとも思ってないんだ。
付きまとって来る高校生、くらいかな。
…俺の名前も、覚えてもらってる自信がない。
「こと、」
「うん?」
「俺の名前、分かる?」
「…は?」
何を言い出したのか、とでも言いたそうなほど不思議な顔をされた。
それでもめげずにことを見ていたけど、ぷいっと顔をそらされた。
…ショック。
ホントに覚えられてないみたいだ。
「こと、彼氏は?」
「あのねえ。」
「もうふっきれた?」
「……キミねえ。」
ことの表情で何を言いたいのか分かる。
“よくもまあそんなにコロコロと話を変えるわね、”とか。そんなとこだろう。
ことってわかりやすい。