あんなに楽しかった日々には戻れない。
〜裕樹side〜
「あいつ。いつもあんな顔してんのか?」
なんかまあ、「かわいかったな。」
とつい、口に出して言ってしまった。
「何がかわいかったのかな?裕ちゃーん?」
同じクラスの健(たける)が後ろから来て、聞いてきた。
「別に何でもいいだろ。つうか、手、どかせ。じゃま。」
今俺の肩には健の手が置かれている。
「はいはーい。で、何がかわいかったの?」
「何でもいいだろ。俺の自由。」そして、2人一緒に教室に入った。
キーンコーンカーンコーンーキーンコーンカーンコーンーーーーーー
1時間目が始まった。
俺の嫌いな国語だ。
嫌いな国語の授業で俺は窓の方を見ていた。一番窓側の席だから空がよく見える。
かわいかったな。心の中で呟くと何だか笑ってしまった。
1時間目が終わると、俺の席に健が来た。
健は俺の斜め後ろの席だ。
「裕、何で笑ってたんだ?せんせーめっちゃ見てたぞ」
「何でもねえよ。」
見られてたのか。
それから、授業のたびに美鈴の笑った顔を思い出していた。
キーンコーンカーンコーンーキーンコーンカーンコーンーー
放課後のチャイムが鳴った。
「あっ。健!!」
「何だよ?」
「今日一緒に帰れないから!!」
「おー。わかった。」
俺は、あいさつをして、ランドセルを片手で持って、
教室から出た。校門に向かう。