あんなに楽しかった日々には戻れない。

「裕くん裕くん。」
「な、何だよ。」
(裕くんの顔が赤い気がするけど気のせいかな。)

「裕くん。昔みたいに手つないで帰ろうよ。」

「えっ。それは、ちょっと。」

「何で?」

「いや、なんか付き合ってるみたいじゃん。」
「別にいいよ。裕くんとならそういう風に見られても。」
「えっ。じゃあ、繋ぐか?」
そう言って裕くんは手を差し出して来た。

「う、うん。」

ただの幼なじみのはずなのに、なぜか

手を繋ぐ

それだけなのに、緊張してしまった。










私はこの時は、気づいていなかった。

これが「恋」の始まりなのだと。


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