【続】隣の家の四兄弟

外人張りに、『ノーッ!!』って叫びたい。いや……それこそ、チハルみたいに、陽気に笑ってごまかせたら……。


胸にあててたはずの両手を今度は頭に乗せて、すっかり暗くなった夜空を見上げては、安いサンダルを履いた自分の足をみるように項垂れたり。

悶絶したり、赤面したり、青褪めたり。

変なことを口にしないようにしようとすると、今度は変な行動をしてしまってる自分に、私は気付いてなかった。


「……百面相は終わったか?」
「!!」


そんな自分の失態に気付かされるのは、大抵コイツのひとこと。


「なっなななな、なによっ……」


なによ……なんで、いつもと同じなのよ。
いっつもそう。私ばっかり。


「ああ。珍しいな……」
「はっ、はあ?!」
「星」
「え……」


星?


聖二の顔を見たら、いつもよりやや上向きになった横顔が視界に入る。
その視線の先を私も追ってみると、真っ黒な空に、微かに輝きを見せてたひとつの星が。


「あ、ほんとだ」


こういう街中では、生活の灯かりが全部なくなることなんかないから。
だから、星なんて、なかなか見えることなんかない。

今にも消えてしまいそうな光を見てたら、ボソリと横から聖二が言った。


「……チハルは?」

< 103 / 286 >

この作品をシェア

pagetop