【続】隣の家の四兄弟
それって、つまり、都合よく三那斗を振り回すだけの想いなのかもしれない。
二人で寝ころび、太陽の光を浴びる。届くか届かないか――そんな隣の距離で寛ぐ三那斗を見てそう思った。
「雲ひとつねぇなぁ……」
空を仰いだまま、三那斗が言う。
私もその言葉を受けて、もう一度空を見る。
「……ほんと。遮るものもないって、まるで――」
三那斗みたい。
曇ることなんかなくて、ただひたすらに、輝きを放つような性格の。
力強くて、真っ直ぐで、心が綺麗で。
なによりわかりやすい三那斗は、一緒にいてすごくラク。
それでも、私は三那斗を選べなかった。
クセがあって、ときどき強引で、心が読めない。
ほとんど口数もなくって、影のある、月みたいな男。
なぜだか、はっきりとした理由は言えないけど。でも、やっぱり私はアイツのことが、好きだから……。
「『まるで』、なに」
「へっ」
気付けば、三那斗の顔は、空じゃなくて私に向けられていて。
びっくりした私は、思わず起き上がってしまう。
「べ、別に。なんでもっ」
「……お前、ほーんと、ウソ下手だよな」
「みっ三那斗に言われたくないよ!」
「オレはウソなんかつかねぇし」
三那斗の言葉と、その言葉通り、純真な瞳にドキッとする。