【続】隣の家の四兄弟

「野球は好きだけど……それで食って行こうなんて、そこまで甘いこと思っちゃいねーよ」


体を起して、携帯を弄りながらそういう三那斗が、急に大人っぽく見える。


「え……じゃあ……」


幼く思えるような顔をしたり、笑っちゃうようなことを話したり。
同い年だから、まだわたしたちは“こども”みたいに思って安心してたところがあったのに。


私の中途半端な聞き返しに、三那斗は携帯を操作する指を止めて、ぽつりと言った。


「浩兄と同じ」
「え?」
「……浩兄と同じように、公務員になれたらいいな、と思ってんだよ」
「――――こっ……?!」


公務員??! 三那斗が?!!


あまりに意外な答えに、私は大きく目を見開いて三那斗を見た。


「そこそこ安定してるだろーし……残業もほとんどなさそうだし。ああ、もちろん、就職先にもよるだろうけど」
「そ、そう……だよね……」
「――運よく残業ほとんどないトコならさ」


少し俯きながら、真剣な目をして話す三那斗は、もうなんだかすっかり大人で。
その横顔は、どことなく浩一さんにも聖二にも似たところがあって、不覚にもドキッとしてしまう。


「少年野球。教えることくらいなら、出来そうじゃん?」


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