【続】隣の家の四兄弟
そして、最後の言葉を聞いて、胸が熱くなった。
やっぱり、三那斗は心から野球が楽しくて、好きで、堪らないんだ。
そういう三那斗だから、いつもキラキラしてるんだと思う。顧問の先生や、後輩、クラスメイトからも好かれてるんだと思ってた。
そんなふうに思えるものとか、出来ることとか。
今の私にはひとつもないものを持ってるから、三那斗が羨ましいと同時に、ちょっと距離を感じちゃう。
「……つって。そんなうまいこと行く可能性のが低いってな」
「でも、可能性はゼロでもないじゃん」
「え……」
嫉妬にも似た感情。でもそれ以上に、“家族として”応援したい気持ちの方が遥かに大きい。
自分の話をして、それをあっさり肯定されたからか、三那斗はなんだか落ち着かない様子だった。
そわそわと目線を泳がして、最終的には手元の携帯に視線を落ち着かせた三那斗が言う。
「……あ。そろそろ予定の時間だ」
「あ、ほんと?」
「でも、おっかしーな」
「なにが?」
携帯電話も、三那斗の大きな手にあれば、なんだか小ぶりなものに見える。
ゴツゴツとした指を、器用にスワイプしたりして、なんだかぶつぶつと言ってる三那斗にもう一度聞き返した。