【続】隣の家の四兄弟
「俺が……なんだって?」
「いえ! いーです! なんでもないです! さようなら!」
「美佳。『さようなら』つったって、オレの次だろ?」
聖二のオーラに超遠慮して、そんな私に三那斗がさらりと指摘する。
結局目立つ兄弟に構われる私は、もちろん女子に疑問と嫉妬の目で見られるわけで……。
「だー! もう! あんたたちが目立つから!」
小声で、でも怒鳴るような口調でコソコソと言うと……。
「なんだよ? 聖二兄来たからって、喜び過ぎだろーが‼︎」
三那斗が見当違いのことを口にして。
「お前ら、うるさい。俺が恥かくだろ。座れよ。ったく」
聖二が突然の来校に苛立った様子。
聖二に注意されるなんて! しかも学校でまで!
無言で私が廊下に並ぶ椅子に腰を掛けると、隣に三那斗が腰を下ろした。
「……あれ」
ふと、横に並んで座る自分たちを見て思い出す。
「今度はどーした?」
三那斗が私の小さな声を拾って、気にかけてくれる。
聖二は長い足と腕を組んで、そっぽを向いたままだ。
「いや……ウチのお母さんも、そういえば姿が……」
もう三那斗が呼ばれるっていうのに……!なにしてるんだろ⁈
「いや、大丈夫だって!」
「え? あ、うん。うちの場合は本当に仕事か忘れてるかどっちかだと思うから」
三那斗の気遣いに、手を軽く振って答える。
まさか本当に仕事に没頭して忘れてるんじゃ……。
そんな不安が過ぎり、電話でもしてしまおうかと携帯をポケットから出した。
「……あー‼」
「なんだ⁈」