【続】隣の家の四兄弟
思わず声を上げた私。
三那斗が目を見開いて驚き、聞き返してきて、聖二も伏せてた目を開けた。
隣のクラスの子の視線も感じる中で、今度は小声を意識しながら三那斗に言った。
「じゅ、充電切れてる……」
ボタンを押しても画面は真っ暗。うんともすんとも言わない。
ああ、この携帯も、もう結構使ってるから……電池なくなるのも早いんだよねー。チハルが携帯買ったときにでも一緒に機種変すればよかった。
でも、機種変って未成年だけで出来たっけ? 親、必要じゃなかったかな?
あ、でもチハルいたから出来たのかも――――って!今はそんなこと言ってる場合じゃない!
「わー! 連絡手段がないぃ!」
刻一刻と迫る時間に、頭の中がパニック寸前。
すると、三那斗の奥から低く落ち着いた声が聞こえてきた。
「バカ。番号覚えてねぇのか?」
「ば、番号……?」
「携帯なら、ここにあとふたつあんだろ。まぁ、覚えてないなら意味ねぇけどな」
聖二はそういいながら、ポケットから出した携帯と、三那斗に視線を向けた。
「ああ……!」
なるほど! その手があった!
素直に聖二に感心して、その差し出された携帯を三那斗の前で受け取ろうとした。
そのとき――――。
「あ。いたー」
その声は私たちの三人、誰かが発したものじゃない。
私が座る、奥の廊下から聞こえてきた声に振り向くと、歩き近付くその声の主に驚いた。
「…………なっ……」
驚き過ぎて、声も出ない。