【続】隣の家の四兄弟
「ここがミカのガッコかー。キレイだね!」
「ここは割りと新しい学校みたいだからね……って!そーじゃなくて!なんでここにいるの⁈」
チハルといると、ペースがチハルに持って行かれる。
だいたいいつも、のほほんとした雰囲気出してるから、ついこっちまでのんびりしちゃうのよ。
「『なんで』?あー、そうそう!夏実サンの伝言」
「お母さんから?なに⁈」
「『ギリギリか、ちょびっとだけ遅刻かも。って先生に言っといて』だってさー」
ぬぁにおー!時間は守りなさいよー!幸い一番最後の順番だから、迷惑掛けるのは先生くらいだけど……。
心で文句を唱えつつ、どこかでほっと安心した私は、さっきよりもリラックスして椅子にもたれ掛かった。
……ん?いやいや、ちょっと待て。
「おかしーでしょ?」
「Uh?『おかしー』?なに?甘いの?」
「“お菓子”じゃなくて、“おかしい”!」
「え?なにがー?」
「なぁんで、私の隣にチハルが座ってんのよ!」
ボソボソと、なるべく声を抑えめに言うと、チハルはなんにも気にせずに、普通に返してくる。
「部外者なんだから、もう帰ってよ」
「ミカ、つめたーい」
泣き真似をしながら、大げさに嘆いて見せるチハルに、つい、私もいつもの感じに戻ってしまう。
「『つめたーい』じゃ、ない!なんでチハルはいつもいつもそーやって……」
「『チハル』……?」
私が立ち上がって、座ったままのチハルの正面に回ると、横から声がして振り返る。
すると、ちょっと前に面談を終えたらしい隣のクラスの子がチハルをじっと見つめて言った。