【続】隣の家の四兄弟

「チハル……?うそ……!」


すると、どこから来たかわからないけど、後ろからも一人。


「……あたしも、気になってたけど、チハルって、あの『チハル』⁈」


板挟みになった私たちだけど、騒がれ始めてる方のチハルが飄々としてて、私の方がテンパるって図……おかしくない⁈


「あ、いやー……それは……どう、なんでしょーか、ね……」


明らかに怪しい返しをしてしまった自分に、引っ叩いてやりたい。
これじゃあ解決しないし、騒がれるでしょーが!


「『チハル』だっ……!」
「『チハル』⁈」


あー!マズイ!

騒ぎ始めた女子生徒を前に、私はあわあわとするだけ。
はっ、としてチハルを見ると、いつの間にか椅子から立ち上がって、私の隣にいた。


「Buongiorno !(こんにちはー)」


手をひらひらっとさせて、あっさり認めたように挨拶を交わすチハルに絶句。

いくら、そんなに日本のメディアに露出してないにしても、雑誌ではわりと出てるようだし、ていうか、現に目の前に知る人がいるのに!

あんた、何考えてんの!!

ジロッとその念をチハルに向けるように睨むと、ぜーんぜん伝わった様子もなく。


「ぼく、有名人?わーい」


って、それ、今、私に言うべきこと⁈


「そーじゃないでしょ……!」
「なんで⁈どうしてこんなとこに!」
「中川さん、なんで⁈」


じょ、ジョーダンじゃない……!目立ちたくないのよ、私は!

チハルに、今すぐ帰ってもらいたい!と、思って、アイコンタクトを送る。
ばっちり目があったチハルは、初めは「?」的な顔をしてたけど、すぐに「!」と閃いた顔に変わる。


よしよし。適当にあしらって、一目散にガッコから撤退してちょーだい!


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