【続】隣の家の四兄弟
バスに乗りながら窓の外を眺めてぼんやりと考える。
実際私も奥手だし。
聖二だって絶対積極的な感じじゃなさそうだし。
そしたらいつ私たちってカレカノ的なことを出来るの?
私は携帯を手にとって真っ暗な画面に視線を落とした。
実は聖二の連絡先をまだ知らない。
お互いの気持ちを確かめた日から約10日。
それからベランダで変わらず会ってはいるけれど。
浩一さんに誘われて、ご飯をごちそうになったあと会ったりもしたけれど。
だけど、そういう話にならないし、情けないことに自分からもなかなか切り出せない。
「―――番号とか、教えてよ……」
ぽつりとそう漏らしたら、隣で立ってた乗客がこっちを見たから慌てて携帯をしまってそっぽを向いた。
たった一言なんだけどな。
それが言えないこのもどかしさったらない。
こんなとき三那斗なら、「携帯貸せ!」とかって強引に聞きだすんだろうな。
ていうか事実そうだったし。
一人、昔の三那斗を思い出して笑いを堪える。
そうこうしているうちにバスは学校までもうすぐだった。