【続】隣の家の四兄弟

……寝てる。

今は夜の8時過ぎ。このくらいの時間に帰ってくることはたまにあるけど、お父さんがいないときにお酒を飲むなんてしないから。

お酒を飲んだのは、帰宅したらチハルが待っていて、流れでチハルと飲み交わすようになっちゃって。
もちろん私は未成年だし、ジュースで二人に混じって話をしてたりしたんだけど。

その宅飲み相手のチハルは、思い出したように「電話してくるネ」とか言って席を外したまんま。


お母さんの、すやすやという寝息を立ててる寝顔を眺める。


チハルがいたからお酒も飲んだんだろうな。
なんか楽しそうな顔したまま寝てるし……。

フローリングに座って、ソファに頬を乗せるようにして気持ちよさそうに眠るお母さんを見て、なんか私の方が親になった気分で笑っちゃう。

……けど、ここで寝て大丈夫かなぁ?夏だし、寒くはないと思うけど、態勢が辛そうな。かといって、朝までこの様子だと、絶対起きないし。


困り果てたときに、電話を終えたチハルが戻ってくる。


「Scusa!(ごめん)アキラ、話すと長くて……って、寝ちゃったの? 夏実サン」
「そー。もうどんなにしても、起きないよ。どうしよ」


考えたって仕方ない。
ブランケットでも持ってこよう。さすがに夜に床でだと肌寒いかもしれないし。

私がくるりと方向転換して、奥の部屋からブランケットを持ってこようとしたら、チハルが簡単に言った。


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