【続】隣の家の四兄弟
視線を向けるとそこには部屋から出てきたばかりらしい孝四郎がいて。
どうやらこの状況を一瞬で読み取ったらしい。
さすがカンの働く弟だ。
「なにモタモタしてんだよ。オレならさっさとあいつら押しのけて行くね!」
前方から今度は三那斗がやってきてはそう言われた。
「……『押しのけて』っつったって。あの二人と、さらにアニキもいるんだから、混戦してまともに辿りつけねーだろーが」
正論を振りかざすように俺が答えると、孝四郎が詰め寄るようにして凄んでくる。
「確かに三那斗は単細胞の戦略なし男だから参考には出来ないかもしれないけどね?でも、聖二にぃはちょっと余裕かまし過ぎだよ!」
「おい!ちょい待て、孝四郎。今のはどーゆー……」
「僕たち相手だと思って危機感持ってないのかもしんないけど!今回は違うんだよ?相手は世界でそれなりに名の知れてる、油断できないオトコなんだ」
孝四郎の真面目な顔。
こんな顔、もしかしたら初めて見たかも知れない。
上背が小さいけど、今は俺を見上げる孝四郎が大きく感じる。
「あら!セイジ!やっと起きたの?!待ちくたびれたわ」
横に立つ孝四郎に気を取られていると、気付かないうちにアキラがリビングに戻って来ていた。
目前にいるアキラで遮られてその奥が見えない。
でも、とりあえずチハルはまだリビング(ここ)へは戻ってないらしい。