【続】隣の家の四兄弟
お、「おはよ」って…。
私が少ししか開けなかったドアをいとも容易くぐいっと引いて大きくドアを開く。
その場に立っていたのは孝四郎くんだ。
「あの、ちょ…っと展開が読めないんだけど…?」
「えぇ?まだ寝てるの?天気もいいし、ほら、早く」
い、いやいやいやいや!
『天気いいから』とか、『早く』とか、全っ然意味わかんないし!
「どうせ暇でしょ?」
にこりと可愛い笑顔で毒を吐く孝四郎くん。
それに対して何も言い返したりは出来ないんだけど。
「う…ひ、暇なんかじゃ…」
「うーそだー。だって聖二にぃは家で寝てるし、起きる気配全くないし。
美佳ってあまり友達と出掛けることも頻繁じゃないでしょ?」
だめだ…。孝四郎くんをごまかす力量は私にはありません…。
負けを認めます…。
思い切り孝四郎くんに言い負かされた私は肩を落として何も言えずにそこにいた。
すると孝四郎くんがにっこりと私の顔を覗きこんで言う。
「さ。だから、一緒に出掛けよ?」
「…はい」
その笑顔が怖いと思うのはこの世の女子で私だけなのかな。
笑顔のオーラに押されてつい返事をした私は渋々部屋へと準備に戻る。
一体全体これはどういうことなの、神様…。
「そのままで大丈夫だよー」
遠くから聞こえる孝四郎くんの声を聞くと、これは現実ということを悟って私は覚悟を決めた。