【続】隣の家の四兄弟
「浩にぃ」
一番に口を開いたのは孝四郎。
孝四郎に焦点を合わせるけど、それ以降なにも言おうとはしない。
その流れで手前に立つ三那斗を見るが、三那斗も同じで特になにを言うでもなかった。
そして、正面にいる聖二とアキラちゃん。
二人は向かい合わせになって、アキラちゃんが聖二の腰に手を添えてるような格好だ。
普通なら、そんなシーンを見てしまえば、なにかしら疑念が湧くかもしれない。
それはおれも例外じゃない。
〝そんなこと〟はありえないと思いつつも、どこかで〝もしかして〟と疑うように聖二を見ていた。
――けど。
聖二は目を逸らしたりしないで、おれをまっすぐに見つめ返してくる。
その態度で、やっぱりありえないというのが正しかったんだと嬉しいような、複雑な思いに駆られる。
だって、それは当然のこと。
アキラちゃんとなにかしてしまうような男なら、初めからに二人を認めてなんかない。
そういう部分で、信頼していたことを守られて安心した気持ち。
……反面。やましいことをしてないとしても、美佳ちゃんにあんな顔させておいて、未だに追いかけることもしないでアキラちゃんといることに腹が立つ。
「聖二」
「……なに」
「いつまでもこんな状況のままなら……おれが奪うからな」