【続】隣の家の四兄弟
「ねぇ。どこ行くの?」
急かされた私は本当に特に何も着飾らずに出てきてしまった。
孝四郎くんは私の問いかけにすぐには答えず、にこにこと私の少し前を歩く。
「この格好じゃ…場所によっては遠慮したい…」
私のぼやきにぴたりと足を止めた孝四郎くんは、私の顔を覗きこんで言った。
「美佳はそのままでじゅーぶん可愛いよ」
な、なんと仰いましたか…?
そんなエンジェルボーイに褒められる程の容姿は生憎持ち合わせておりませんが!
「どうしたの?」
「…いや、なんでもない…デス」
孝四郎くんにとっては別に特別なことでもなんでもなく。
今まで付き合ってきた女の子たちへのようにただ言っただけなんだろうけど。
…こちとら、そんなこと言われたことなんかないから鼻血出そうなんだっての!!
結局いつも孝四郎くんのペースに巻き込まれてるんだよなぁ。
孝四郎くんのサラサラヘアを後ろから眺めてそう思う。
でもなんだか楽しそうに足取り軽くして進む孝四郎くんの姿はなんだか可愛くて。
あどけなく見えるのはやっぱり年下だからかな。
そんな孝四郎くんに笑顔になる。
―――ん。でもこれは“年上”として!
“弟”のように思って、だから!!
「そうよ!」
一人脳内ツッコミをしていたらやっぱり口から出ていたようで…
「美佳、また?今度はなに?」
くすくすと、孝四郎くんが優しい目で私を振り返り笑ってた。