【続】隣の家の四兄弟
「なんだかんだで孝四郎くんは真面目だよね」
前にも一緒に来たことのある本屋さん。
そこに私たちは居て、ずらりと並ぶ本の背表紙をじっと見ている孝四郎くんに言った。
「『なんだかんだ』って失礼だなぁ」
ほっぺを膨らまして孝四郎くんが答える。
だって、そうじゃない。
あんなに女の子と遊んだりしてたみたいなのに。
普段、勉強勉強って言ってる姿も見たことないし。
いつもこんな感じでふわふわとした雰囲気を纏ってる。
だけど、こういう瞬間は、きりりとなるんだから。
「ごめんごめん。じゃあ私も他見てくるから」
「あ、うん。後でね」
私は孝四郎くんと離れて本棚を左右に見ながらゆっくりと歩く。
それにしても、突然強引に誘われたからどこへ連れて行かれるかと思っちゃった。
行き先が本屋だなんて想像出来なかったよ。
ちょっとホッとした…。
そんなことを考えながら私も気になる本棚の前で足を止め、睨めっこをする。
「んー…」
参考書とかも種類がありすぎて一体どれがいいのやら…。
それにどの教科に力を入れればいいのかも、今の段階で私はまだはっきりしてないし…。
溢れる本を目の前に、自分が情けなくなってきて溜め息が漏れる。
「はぁ…私、どうしたいんだろ…」