【続】隣の家の四兄弟

結局どの本も手に取ることが出来なくて、その場を離れた。

ふらふらと本を眺めながら歩いていると、いつの間にか入口付近まで戻っていて、雑誌コーナーで再び足を止めた。


「この前まで呑気にこーいうのばっかり見てたなぁ」


女性ファッション誌を適当に拾い上げて呟いた。

パラパラとページを送って特に真剣にもならずにその雑誌を閉じて元に戻す。


「あ、いたいた!」


ちょうどそのタイミングで孝四郎くんに声を掛けられた。


「あ、ごめんね。買い物終わった?」
「うん。欲しいものはたくさんあるけど、とりあえず今回はこれだけ」


そう言って孝四郎くんは笑いながら手元の紙袋をポンっと触った。


「たくさんあるんだ?」
「色んな本を見るの、面白いから」
「すごいなぁ。私、マンガとかなら色々読めちゃうけど」
「ははは!美佳らしい」


そんな話をしながら店を出る。
何気なく、その話題の流れで私は聞いてみた。


「古本屋とかは行かないの?」
「んー。たまに行くよ。でも僕わがままだから、新しく出たものが欲しかったりするんだ」
「でも、その“わがまま”なら褒められる所だよね」


次々と本が気になって欲しくなるなんて。
それもマンガとかじゃなくて。

うちの両親だったらそれはそれはほめたたえそう…。

だって、あの二人は本なんかほとんど読まないし。


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