【続】隣の家の四兄弟

そんな自分の親を想像していたら、ぽつりと孝四郎くんが言った。


「本も結構するからね。僕バイトとかしてないし」


ハッとして孝四郎くんを見た。

そうだよ…欲しいからって、何でも簡単に買えたり与えられたりするわけじゃないんだった。


「あ、でもウチが貧しいとか思ったことないよ?大体ちゃんと遺してくれてるみたいだし、浩にぃも聖二にぃもその辺信用してるし」


急にぱっといつもの明るい顔で孝四郎くんが振り向いた。


「バイトだって、別に僕がしたければすればいい話だし」
「バイト……孝四郎くんが?」


なんだか不謹慎だけど、孝四郎くんがバイトって、想像し辛いな。

ソツなくなんでも出来ちゃいそうだけど…なんとなく、なんとなーくそう思っちゃう。

あ、でも、接客とかしてたら絶対ファン客つきそうだよね!


そんなどうでもいいところまで一人想像する。


「ああ、また美佳はひどいこと考えてるね?」


孝四郎くんが私の脳内を言い当てる。
それを必死で私はごまかそうとはするけれど、やっぱり敵わない。


「あ、あー……もうお昼だね!」


苦し紛れに近くにあったお店の時計を見て言った。
それに反応して孝四郎くんが同じ方向を見て言う。


「あ、ほんとだ…。お昼か…どうしようか…」


それから少し沈黙…。


…??



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