【続】隣の家の四兄弟
アキラとはしばらく離れていたけど、本質的なところが簡単に変わるとは思えないから。
だから、わかる。
アキラがそんなになってしまうのが。変にプライドが高くて、基本、負けず嫌い。さらに、負けたことなんてほとんどないから、こんなふうに感情的になってしまってるんだ。
ぼくがどう声をかけてもすぐにはおさまらないし、納得しないだろう。
そう考えて、声を掛けるのを躊躇していたら、チビコウが口を開いた。
「……しいて言うならそーいうとこだよ」
すると、ピクリと肩を震わせてアキラが視線を上げる。
「『勝った』とか『負けた』とか。そういうとこが違うんだよ」
真っ直ぐにアキラを見て話す顔は、コウそのもの。
いつもは小さくて可愛い男の子としか見てなかったけど、チビコウは実は大人びているのかもしれない。
「まぁフツーって言えばそーだけどよ。でも、オレたちには特別なんだ。アイツ……いつでも真剣にオレらと向き合ってくれるから」
ミナトも普段は見せないような面持ちで言葉を繋ぐ。
その二人の視線に、さすがのアキラもすぐには反応出来ないようだ。
それでも、やはりそこはアキラ。このまま黙っておさまるようなヤツじゃない。
「でも……!わたしには幸せそうになんか全然みえなかった!」
食ってかかる相手が違うだろ。
なんて、心で思ったけど、やっぱりぼくは見てるだけで……。
そのとき、また奥から足音が聞こえて来て全員が振り返る。
廊下の先に見えた姿は――。