【続】隣の家の四兄弟
「…美佳の思ってることはわかってるよ」
少しだけ、いつもの孝四郎くんに戻って頬を膨らませてそう言った。
「美佳には色々見られてたからね」
「――――」
「でも、“僕が一緒に出掛けたい”とか思って行動するのって、美佳が初めてだったから」
本当、今までの孝四郎くんを覆す、純な告白。
不純にも、そんな孝四郎くんから目が離せなくて、きゅんとしてしまう。
―――でも、恋心とか、そんなんじゃないんだから!
「あ…あー…じゃあ、今まで…は」
「全部彼女たちに言われるがまま付き合ってただけ」
「その言い方―――」
それじゃあまるで、“向こうが勝手に”って言ってるみたいじゃない。
そんな風に捉えて私は複雑な顔をした。
「ああ。ごめん。誤解しないで―――僕も彼女たちを利用していたのは事実だし、だから嫌々一緒に居たとかではないんだけど…」
そう言って孝四郎くんは何か必死に言葉を手繰り寄せているように、私に言う。
「だから、その…僕が自分の意志で行動し始めたの、最近だから…だから…」
まるで懺悔かのように、だんだんと小さな声で。
だけど、それって私に言われても違うと思うけど…。
「――私に謝られても…」
「…そうだよね」
ますますしゅんとする孝四郎くんの姿を見て、「はぁ」と息を吐いた。
その息に、孝四郎くんがちらりと私を窺う。
「でも、この間、ひとりひとりちゃんと話して、謝ったんでしょう?」