【続】隣の家の四兄弟

「こ、孝四郎(こうしろう)くん…!」
「おはよ!」


私がぼーっと良からぬことを想像している間に、次のエレベーターで来たであろうこの子は孝四郎くん。

お隣さんの綾瀬(あやせ)家の末っ子、四男。

見た目は浩一さんに似た雰囲気の優しい感じ。
少し小柄なところと、さらさらした髪の毛と、そのにっこり笑顔は天使並み。

その外見から想像もつかない程の強(したた)かさ…。

小悪魔的な彼は私の二つ下の高校1年生。


「美佳(みか)、今日うち来る?」
「へ?!あ、いやー…どうかな」
「別に用事もないんでしょ?だったらおいでよ」
「っていっても…ねぇ?」


その可愛らしい顔で上目遣いされると鼻血が出そうなんですけども…。


きゅんとさせるその瞳は絶対わざと。
…ってわかっちゃいるけどやっぱりドキドキさせられて―――。


「あっ!バス乗り遅れちゃうから!じゃあね!」
「あっ、美佳!逃げた!」


私は懸命にその目から逃れて孝四郎くんを置いてバス停へと駆けて行った。

本当にバスはギリギリで、ちょうど到着したバスに息を整えながら乗り込む。


はぁー。危ない危ない。
孝四郎くんは本当、怖い。

あの武器を高1にしてわかってて使ってるんだから!


そんな孝四郎くんも、ひょんなことから私に好意を持ってしまっているようで…。
っていうのも平手打ちをかましたのがきっかけだったりする。

そんな近い過去を思い出しているとポケットで携帯が振動した。


【美ー佳ーぁ。覚えといてよ…?】


そんな恐怖のメールが孝四郎くんから届く。


「こ、孝四郎くんてMなのかSなのか…」



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