【続】隣の家の四兄弟
「ちょっと、ね。美佳?」
そこで私に振る?!!
「えっ!なに!美佳!コイツとどっか行ってたのか?!」
ほら!案の定三那斗が乗せられてるじゃない!
面倒だからやめてよね!こういうの!!
だけど、孝四郎くんはしらっとしたままもぐもぐと口を動かすだけで。
「ちょ、ちょっとだけ。午前中本屋に…」
「なに?二人で?なんで?いつからそんな話―――」
矢継ぎ早にされる三那斗の質問を中盤から聞き流していたら、横から低い声が聞こえてきた。
「……うるさい」
その声に三那斗は黙る。
そしてなぜか私が緊張して、その声の方を振り向き謝る。
「ご、ごめ……」
むくりと起きた聖二がしばらく頭を下げて動かずにいた。
私はその姿をずっと見ていたが、さすが兄弟の三那斗と孝四郎くんはいつものこと、とでもいうように、マイペースに食事を続けていた。
「―――水…」
「え?は、はい…!」
動かずにいる姿から、そう短く声だけ聞こえてきて、私は思わず姿勢よく椅子から立って返事を返した。