【続】隣の家の四兄弟
ちょうど向かいに座る三那斗がそう言って聖二を見てるけど、聖二はちらっと三那斗に視線を向けるだけでまた視線をお皿に落とした。
それを合図に三那斗が話しだす。
「そんなふうにしてられるのも、今のうち!……かもしれないんだからな!」
三那斗…急に訳がわからないんですけど…。
ぽかんと私は三那斗の様子をただ眺めていた。
隣に座る孝四郎くんや、浩一さん、聖二をちらっと見てみたけど、みんなは驚くこともなく、何事もないままのようにそこに居るだけ。
「別に、三那斗に言ったわけじゃねぇだろ」
すると、あの聖二がぽつりと三那斗に返事をした。
だけど、その返事の意味がさっぱりだ。
『三那斗に言ったわけじゃない』?
それってどういう意味?
どの時の話をしてるのだろう?
私の頭に疑問符がいっぱい浮かんだままの状態で、兄弟の会話は進んで行く。
「そりゃそうだけど…けど、そうやっていちゃつかれると腹が立つ!」
「い、いちゃ―――?!」
つい口を挟んでしまった。
だって、なに?
いちゃつくって、誰と誰が?
ていうか普通に考えて今女子は私だけで、三那斗がなんかわかんないけど怒ってる相手が聖二なら、私と聖二ってことになるんじゃないの??
――――ど、どこをどういうふうに取ったらそう見えるんだ、三那斗!!
目を白黒させてる私を見かねて、その場を取り仕切り始めたのは孝四郎くんだった。