【続】隣の家の四兄弟
「せ、聖二…?」
その影が聖二だとわかって私は名前を呼ぶ。
「警察来るまで逃げられたら意味ねぇな」
そう言いながらガラリとベランダの戸を開ける。
「ちょ…アンタ、何するつもり―――」
「三那斗、お前玄関から行け」
私のことなんか気にもせずに聖二は三那斗に指示を出す。
「おいおい。だから丸腰じゃ危ないって…!」
「金属バットでもテキトーに持ってけ」
浩一さんの言葉にも聖二は聞かずに三那斗に言うと、三那斗もいつの間にか私から離れて部屋からバットを持ってこようとしていた。
ちょ、ちょっと、二人とも本気…??!
私はあわあわして4人を見回す。
全く慌てる様子を見せない孝四郎くんと、冷静に物を言う浩一さん。
それに対して勢い任せっぽい三那斗と、口よりまず行動的な聖二。
頭脳派の浩一さんと孝四郎くん。
肉体はの聖二と三那斗ってとこか……って!!!
いやいや、ほんとーに危ないから!!
そうこうしているうちに物音が止んだ気がする。
それは皆が気付いたようで、一瞬全員がしんと静まり返った。
そして何も言わずにすっと動いたのは聖二。
「…ちょっ…!」
私の呼びかけなんて聞こえないような感じで聖二はベランダへ出て行ってしまった。
すると、今度は背中の方から『バタン』と玄関の閉まる音が聞こえる。
振り向くと三那斗の姿がない。
「…全く、あいつら!孝四郎、あと頼んだ」
浩一さんが溜め息混じりにそう呟いて子機を孝四郎くんに渡すと、三那斗の後を追った。