【続】隣の家の四兄弟

「と、とにかく電話――――」


私が孝四郎くんにそう言った矢先、隣から騒々しい音が聞こえてきた。


―――聖二…!


私は、怖いなんて感情を忘れて、無心で玄関を出て自分の家のドアを思い切り開けた。


「…聖二っ三那斗―――」


そう声を上げて靴を脱ぎ捨てる。

開きっぱなしの部屋のドアで、みんながそこに居ることがわかる。


「だっ…大丈……夫?」


短い距離だったのに、私は大袈裟にも息を切らしてその部屋に問い掛ける。

すると、そこには三那斗が一人の若い男を制圧して床にねじ伏せている光景があった。


「―――だ、誰…?」


その男は見たことがない。

いや…でも、どっかで―――?


それでも全く名前も思い出せない、三那斗に抑えつけられて顔をしかめる男は苦しそうに言う。


「…ちょ、あんたら、なに?!」


「なに」って…この人、頭オカシイんじゃないの…。


私が何も言えずに呆然とその男に目を向けてると、その男が私の前に立つ浩一さんの顔を見て表情を変えた。


「―――コウ…?」


そしてそう呼んだから、その部屋に居る誰もが驚愕した。




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